【女の事件】十三日の金曜日
第1話
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!カンカンカンカンカン!!カンカンカンカンカン!!)

2016年12月22日の午前11時過ぎのことであった。

新潟県糸魚川市の中心部に行政防災無線のスピーカーから強烈なブザー音と消防団の詰所のハンショウの激しい乱打音が響き渡っていた。

糸魚川市の中心部の商店街にあるラーメン店から激しい炎をあげて炎上をしていた火は、またたくまに周辺の住宅と商店を次々とのみこんで行った。

140世帯以上に大規模な被害を受けた大火の火元のラーメン店は、主が中華鍋を空焚きにしたまま店を出ていた。

キンリンで職人同士のケンカが起こっていたので、近くの店の主人から『でえく(大工)同士がセンキョのことでケンカになってしまった…』と泣きつかれたので、チュウサイに出ていた。

火事は、主人がケンカのチュウサイをしているときに発生した。

怖くなった主は、奥さんと一緒に糸魚川市から逃げ出した。

悲劇は、その翌日に発生した。

大火の発生から24時間後の12月23日の午前11時過ぎのことであった。

場所は、新居浜市前田町にあるリーガロイヤルホテルにて…

この日は、川之江で暮らしている入江ふきこ(39歳)の義妹(ダンナの妹)のあつこ(29歳・家事手伝い)の挙式披露宴が執り行われていた。

ふきこは、あつこが不安になっているので新婦の控え室でそばについていたが、義父母から用事を頼まれていたので、控え室から一時出た。

その間、花嫁さんはひとりぼっちになっていた。

その時に、中国人男性と日本人女性の夫婦が勝手に新婦の控え室無断で入ってきた事件が発生した。

こともあろうに、中国人男性と日本人女性の夫婦は糸魚川市の大火の火元のラーメン店を経営していた夫婦でふきこの両親(再婚していた)だった。

ふきこが控え室に戻ってきた時であった。

ふきこの夫・久通(45歳・銀行員・非正規雇用)がふきこの両親に『オドレ放火魔!!』と言う怒鳴り散らした後、シツヨウに物を投げつけていたので、ふきこは叫び声をあげていた。

「ああ!!おとーさん!!おかーさん!!」
「ふきこ!!」
「なんでおとーさんとおかーさんにきつい暴力を加えるのよ!!おとーさんとおかーさんになんの落ち度があると言うのよ!!」
「だまれ!!放火魔の娘はだまれ!!オドレの両親は落ち度があるから、鉄拳制裁を加えたのだ!!オレのやり方に文句があるのか!!」
「あなたやめて!!どうしておだやかに話し合いができないのよ!!」
「だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれー!!オドレは放火魔の両親をかばう気か!!放火魔の夫婦は、夫が中国へ逃げて帰りたいからと言うて、祝儀袋の一部をよこせと言うた!!今からオドレの両親をぶっ殺すぞ!!」
「だからといって、そこで大ゲンカを起こしたら、こじれてしまうわよ!!」
「なんじゃオドレ!!オドレも殺されたいのか!!」

(ガツーン!!)

久通は、ふきこの顔をグーで力をこめて殴り付けた。

そして、ふきこの父親が持っているパスポートや貴重品を強奪したあと、ふきこがいる前で強烈な力を込めてけとばしていた。

ふきこは、久通を止めることができなかったので、声を震わせて泣くより他はなかった。

どうして…

どうしてアタシばかりが…

強烈な暴力の被害を受けなければならないのよ…

アタシに何の落ち度があると言うのよ…

アタシは…

ダンナの親きょうだいに気に入られるようにと思ってがんばっていたのに…

ダンナはどうして、アタシに暴力をふるうのよ…

どうしてアタシの両親に暴力を加えるのよ…

アタシの両親は、小さいことからコツコツコツコツコツコツとがんばって働いていたのよ…

やっと苦労して、自分のお店を持つことができたのよ…

なのに、放火魔だから殺してやる…

ひどい…

ひどい…

アタシの両親を殺してやるだなんて…

ひどい…

こんなことになるのだったら…

お見合いなんかキッパリと断った方がよかったわ…

アタシ…

結婚なんかいや!!

離婚してやる!!

リエンしてやる!!
< 1 / 39 >

この作品をシェア

pagetop