桜の舞う頃……
 次の日ー。
 あたしは、高校に行く前に、いつものように、桜並みに木のベンチの横に、自転紙を置き、ベンチに座った。
 「(昨日は、変な人に捕まったから、全然、読めてないのよね…。)」
 そう思いながら、カバンの中から本を取り出した。
 あたしは、春風に髪をなびかせながら本を読んでいると、また、昨日のゆうが来た。
 ゆうは、また、ヨレヨレのスーツに、崩れたセットヘアーで現れた。
 ゆうは、あたしに、声をかけてきた。
 「はずきちゃん!」
 無視する訳にもいかず、笑顔で返した。
 すると、ゆうは、あたしの隣に座り、あたしに、話し始めた。
 そのゆうの匂いは、お酒臭かった。
 あたしが、嫌そうな顔をすると、ゆうは、慌てて聞いてきた。
 「俺、酒臭い?」
 あたしは、頷いた。
 「ごごごごごめん!!!
はずきちゃんに会いたくて、それしか考えてなくて…。
明日からは、気をつけるよ!
本当にごめん!!」
 ゆうは、何度も謝ってくれた。
 あたしは、そんなゆうをみて、許すことにした。
 「もういいよ。
怒ってないから。」
「ホント?!」
「次から気をつけてくれたら…。」
「絶対、気をつける!!」
「じゃあ、約束ね?」
「うん!!」
「あたし、そろそろ、学校行かなきゃ…。」
「そっか…。
いってらっしゃい。」
「いってきます。」
 あたしは、本をカバンに入れ、自転車に乗った。
 学校に着くと、薫が、話しかけてきた。
 「今日は、彼氏と会えたの?」
 薫は、ニヤニヤ顔…。
 「彼氏じゃないけど、会えたよ。」
「それで?」
「お酒臭かったから、そのままを伝えた。」
「で?」
「(明日には、直す。」って。」
「それだけ?!」
「うん。」
「マジで、それだけ?!」
「うん。
時間なかったし…。」
「なるほどね。
明日のお楽しみってことか…。」
「お楽しみって…。
そんな仲じゃ無いから。」
「はいはい。」
「なに?
その、信じて無い感じ。
彼とは、何でも無いから!」
「(向こうは、その気満々って、いつ気付くの?)
(鈍感!)」
 お昼休憩ー。
 「はずき。
今日も、弁当?」
「うん。」
「そっか…。
じゃあ、うち、給食とってくるわ。」
「うん。」
「(はずきも大変だな…。)」
 薫は、給食を持ってきて、はずきと食べた。
 「あたしも、給食食べたいな…。」
「はずき…。」
「お母さんに言ったら、「ダメ!」の一点張りで…。」
「そっかぁ…。
はずきのお母さん、キツイもんな…。」
「うん。」
「うち、片付けてくるわ。」
「うん。」
 放課後ー。
 「はずき。
また、明日ね。」
「うん。」
 桜並木を通ると、ゆうはもういなかった。
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