キミは当て馬、わたしはモブ。


 じぃっと帝塚くんを見つめて、全身全霊で訴える。


 理由を教えろ。


 わたしを好きなのか、そうじゃないのか。


 こんなもやもやしたまま終わるなんて許さないから。



「――本当は、触れていたいです、佐久良に」



 帝塚くんは優しい笑みを浮かべたまま、そっとわたしの頬に触れた。


 手先が冷たい。だけど手のひらはカイロみたいに熱くて、わたしの頬は温まっていく。


 ……いや、帝塚くんの手は関係なく熱い気もする。



「俺はもうこの気持ちが何であるか、知ることができたんです」



 遠回りしながら、それでいて確実に、わたしの求めている答えに近付いていく。



「だから――」



 わたしは黙って、次の言葉を待った。


 ここで、普通来るなら告白だ。わたしに伝わるように、帝塚くんの好意を言語化すればいいだけ。


 ただ同時に嫌な予感もしていた。


 だってこいつは、かつて好きだった女子に「あなたに目をつけていた」と告白した男なのだ。


 全く安心できない。


 そして……その予感は、こういうときに限って的中してしまう。




「勝ちたいです。佐久良の好きなゲームに」




 ……ほらね、変なこと言い出した。

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