キミは当て馬、わたしはモブ。


 本当におかしかったのはわたしだったんだ……。


 熱のせいかもしれない。


 だから、帝塚くんがこんなにいつにもましてイケメンに見えるのかな?


 ……まぁ、いいか。どうでも。


 帝塚くんがイケメンとか、イケメンじゃないとか、どうでもいい。


 それより、今日からどうするかの方が気になる。



「今日、佐久良が急に俺と仲良くしてきたらどうしようかと思ってたんです」


「なんでそんな考えに至るの?」


「もう佐久良は俺を敵視する理由がないですから」


「あ……確かに」



 でも、もうこんな感じでずっと来てるし、今さら態度を変えるのもなぁ。



「帝塚くんだって、何も変わってないじゃん」


「そんなことないですけど」


「え?」



 どっか変わった?


 じぃっと帝塚くんを観察してみる。でも、別に変わったところはない。いつも通り、ちょっと表情が乏しくて、端正な顔つきのままだ。


 そして、わたしと目が合ったらキョトンとして……ん?



「なんか緊張してる?」



 ちょっと動揺しているように見えた。


 実際、わたしの視線から逃げるように、少しだけ目を横に動かしている。


 そういえば、帝塚から目を逸らされるなんて、されたことなかったかもなぁ。


 これが、帝塚くんの変化ってやつなんだろうか。

< 94 / 219 >

この作品をシェア

pagetop