会長様の秘蜜な溺愛
…本能というべきか。
熱のせいで頬が赤い表情も
具合が悪いためうつろにわたしを見る目も
調子は辛そうだけれど――…確かにわたしの知っている「彼」だ。
それなのに何故だろう。
「……っ!?
…、…待っ…!!」
何かが、
表面的ではない何かが、違う――…。
すべてが急だった。
彼の目の前に行くと、手を引いて身体を抱き寄せられて
ひとつ瞬きをすれば彼に口を塞がれていた。
静寂を引っ掻いて
困惑を隠せないままのわたしに触れる会長の手。
「かい、ちょ…っ?」
「…足りない…」
綺麗で孤高の彼に対する違和感は
…気のせいだと思えばいいのかな。
一刻も早く安静にしてほしいけれど
彼が、それを望むのなら――…。