会長様の秘蜜な溺愛



――ガラガラッ


東校舎の2階。


手前には大きなスクリーン、今年度搭載し直された最新型のパソコンと

背もたれ付きの椅子が対面式で並んでいる。


麗ちゃんに引っ張られるかたちで来たのは、休み時間は開錠されている無人の視聴覚室だった。


もっとも、視聴覚室は飲食禁止だから

昼休みに人が居ることは滅多に無い。



「っ!…菜穂、ごめんなさい…」

「ううん!大丈夫だよっ」



ハッとしたように手を離すと

わたしの手首に赤みが帯びていることに気付き、深く頭を下げる麗ちゃん。


悲しそうなその表情は

さっき見た暦先輩の表情と、よく似ていた。

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