会長様の秘蜜な溺愛
「失礼します…」
「どうぞ」
中に入るとすぐ
視界で鈍光の輝きを放つ、孤高のプレジデントチェア。
…じわじわと広がる胸の痛みに顔を背けても
また広がっていくだけだった。
「菜穂ちゃんミルクティー飲めるー?」
「はい……、冷蔵庫なんてあったんですか!?」
「ずっとあったよ。学園長がご厚意で置いてくれたんだって」
「すごい…」
「僕はあまり使わないけどね。それに今は蓮のストックのミルクティーか、書記の子のエナジードリンクしかないんだ」
「エナジードリンク!?」
「うん。行事前とかはもう飲まないとやってられないよね…。はいどうぞ」
「ありがとうございます」
結局流されるかたちで黒革ソファに腰掛ける。
向かい合っている暦先輩からは、何気ない動作においても品の良さが伝わってきた。