会長様の秘蜜な溺愛
桔梗の生徒は食堂やラウンジ、部室、ホールなど移動してお弁当を食べる生徒が大部分を占める。
食堂で食券を買って食べる人が次点。男子はこれが一番多い。
運動部は香月くんと神谷くんと同様、食堂及びお弁当と部活用に購買の二刀流がほとんど。わたしたちのように教室でお弁当を広げる人は少なくいつも1桁だ。
「ねぇ菜穂、3人の中で誰が一番まともだと思う?」
「それはもちろん麗ちゃんだよっ!」
「出たーっ!麗の威圧!あさみん可哀想!!」
「誰も威圧なんてしてないでしょっ」
「冷静に考えろって。普通に俺だろ」
「「それはない」」
「そこでハモるな!!」
始めは人の目ばかりを気にしてしまっていたけど、優しい人たちに囲まれているおかげで、それもなくなった。
わたしにとってはこの日常が、とても幸せで、宝物だ。
「でもカナ良かったね。俺が遠征費出し遅れた時は鉄拳くらったのになー」
「…そりゃまぁ。この前の合宿で点入れたからじゃねぇの」
「下手な嘘つかないの。隣に女子がいれば怒鳴られないって分かってたから菜穂を巻き込んだんでしょう?」
「げっ、麗さん鋭い…」
「処刑」
「っ助けろ日向!麻見も謝るから俺のみぞおち……ぐはっ!」
「あさみん、このバカがごめんねぇ」
「あははっ!大丈夫だよ、わたし運動不足だから走れて良かったっ」
香月くんは本日3本目の飲むヨーグルトを片手にぺこりと頭を下げた。…なんだこの可愛い子は。
神谷くんは麗さんによりチョップ刑の執行中。…ご愁傷さまでございます。
目の前で広がる光景の楽しさに、自然とまた笑みがこぼれた。