23時41分6秒
「お客様、お飲み物は何にされますか?」
話しかける機会を伺っていたであろう
高岡さんが聞いた。
「このカフェで一番美味しい珈琲を
お願いできますか?」
「かしこまりました。
掛けてお待ちくださいませ」
そう言われると御曹司は
私が座っていたカウンター席の
右隣に腰を下ろした。
そしてもうひとつ隣の椅子に
黒い通勤用鞄を置くと、
私の方を見た。
挨拶をするために立ち上がった私が
彼を見下ろす形で視線がぶつかる。
彼のすぐ近くに立っているため
とても距離が近い。