23時41分6秒



ふと、お店の入口に置いてある受骨が
折れたビニール傘が目に留まる。

この前のデートの時、急に雨が降って
きてしまい彼に借りた傘だ。

普通のビニール傘だが、私と彼を
繋いだ大切なものだ。

今朝、出勤途中に暴風雨で壊れて
しまったのだ。

正直、落ち込んでしまった。


大切なものだからという理由もあるが、
一番は自分とこの傘を重ねてしまって
いたからだ。


不幸な事が起こり、まだ傷も癒えない心に
追い討ちをかけるように
再び不幸が訪れる。

小さな幸せに心躍らせればお前には
幸せは似合わないと不幸がまた
迎えにやってくる。


雨が降り、傘が濡れる。
まだ乾いてない小間に容赦なく
雨は叩きつける。

やっと訪れた晴れ間に乾けば、
太陽は裏切り大粒の雨を降らせ
また濡れてしまう。

強風にも耐えられずすぐ壊れてしまう。

今のぐらついた心に、何か追い討ちを
かける事が起これば、きっと私は
潰れてしまうだろう。


私は青空の下で誰かを守る日傘には
なれないのだ。



< 143 / 221 >

この作品をシェア

pagetop