蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

次の日も
珍しく続けて瞬から電話が来た



「体育祭終わったら、紅、テストでしょ?
その頃、そっち帰ろうかな…
勉強、みるよ」

瞬が言った



瞬に会えるのに
私は嬉しいと思えなかった


私が言ってほしい言葉とは違ったから



好きだから会いたいとか…

会いたいから帰るとか…


そう言ってほしかった



「忙しかったら、無理に帰ってこなくていいよ」


遠慮でもなく
我慢でもなかった



私はもぉ、瞬の事を好きじゃないのかな?
自分にも問いかけた


そんなことはなかった


抱きしめられたいという気持ちはあったし
キスしたい気持ちもあった



瞬の気持ちが私から離れている気がして…
不安だった



「私達って、まだ付き合ってる?」

続けて、そんな事を言ってしまった



「…ごめん、紅…
ずっとひとりにさせて…
オレは…紅のこと‥好きだよ
こっちに来てからも毎日紅のこと考えてた
…今だって、会いたい
ホントにオレ、紅に、ひどいことしてる‥」

瞬にそう言わせてしまった



胸が締め付けられた


「紅にルール違反とか言って‥
近付き過ぎたオレが悪いのに…
勝手に紅のこと置いてきた
…ホントに、ごめん…」


瞬は、ずっと謝ってきた



「…うん、わかった
私は、大丈夫だよ…」


そう言って私は、電話を切った



最後の言葉は、我慢だった



会いたい…

瞬の言葉が胸に響いた



私からは言わなかった

会いたい…
好き…
って


それも
瞬に迷惑をかけてしまうのかなって
言えなかった



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