蒼くて、紅い… 甘くて、苦い…

➖瞬➖


結局、旅行に行くことになった


紅は喜んでた



「紅ちゃん、お風呂一緒に行こう」

ホテルに着くと
茜と紅は一緒に温泉に行った



「紅ちゃん楽しそうでよかった」

亮が言った



「あ、部屋どーする?
オレと瞬?」



「あぁ…そーしよ」



今までだって
茜の友達と来るとこが多かったから
男女で部屋を分けてた



「でも、紅ちゃん
瞬と一緒の部屋がいいだろうね
ホテルまで来る間も
ずっと瞬のそばにいて、かわいかったな
ずっと一緒にいたいんだろうな…って思った」



「見るな、
そーゆーふうに紅のこと」



「や、だって、見えるし
変な目で見てるわけじゃないからさ
瞬もちゃんと恋愛してるなって」



「だから、そーゆーのが、嫌なの」



亮と茜がいつもオレ達のことを
微笑ましく見てるのが
オレは気に入らない


たぶん、恥ずかしいだけだけど


だからなんとなく
この4人でいる時は
オレは無口になることが多い



紅、かわいいなって思う時も
なるべく無表情にしてる


亮と茜に悟られないように



「まーまーいいじゃん
瞬が紅ちゃん大事にしてるの
見ててわかる
今までと違って本気なんだなって…
大学の時、結構彼女いたじゃん、瞬」



「結構って、遊んでたみたいに言うな!」


遊んでたわけではないけど
わりと途切れず彼女はいたかな



卒業して無職のオレには
誰も見向きもしなかった


当たり前か…



いや、紅ぐらいか…



「だからさー
いんじゃない?
別に一緒に寝るぐらいは…」

亮が言った



「寝るぐらい…って…」



「じゃ、オレ達も風呂行ってこよう」




寝るぐらい…って
親子みたいに簡単に亮は言うけど…



温泉に浸かりながら
オレはずっと考えてた



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