逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
想像よりも親しげな様子に心が痛かった。
一瞬の出来事で、そのままクルマは大通りを抜けた。
待ち合わせの時間までネイルでもしようと思っていたけど、そんな気にならず結局カフェの近くで下ろしてもらう。
でも降りて、さっきまで手伝っていたカフェへうかない顔で行けるわけもなく、近くの公園のベンチで時間を潰した。

「芽衣ちゃん!」

声をかけてきたのは南さんだった。
事情を聞かれ、ポツポツと私の話を聞いてくれた。
信じれなくてたくさんすれ違って、やっと両想いになったこと。
だから、信じてることに間違いないけど、不安なこと。
話を聞いてくれて、

「信じてるなら、彼のために出来る事やったら?
彼が喜んでくれそうなこと。ずっと一緒の時間を過ごすことは出来ないでしょ。彼には仕事があるし。」

「私に出来ること…。彼のための…。考えてみます。ありがとうございます。
久しぶりにこれからデートなのにつまらない顔で行くところでした。」

そうして、少しだけ笑顔が取り戻せた。

しばらく色々な話をして、心が暖かくなった。
私に彼のため出来ること…意外と難しいな。
今日それとなく聞いてみたい。


少しだけ元気を取り戻して、待ち合わせの場所へ向かった。
< 141 / 213 >

この作品をシェア

pagetop