逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「どうしたの?よくここが分かったね。」

「あちこち探した…。急にいなくなったから…。」

「そんな大げさだよ。色々やりたいことあったからで、ほんの数日のことでしょ。
もうそろそろ帰ろうと思っていたし。」

「でも、黙っていけば心配するだろ! 」

「そうだね。でも私の時間だから。あなたはあなたの時間を好きに過ごすでしょ?
やりたいことがあったから、こちらにお邪魔させてもらったの。」

「とにかく、用が済みそうなら一緒に帰ろう。」

イライラして怒ってるなとは感じてた。
けど、こんな風にここへ来てるのは曲がった気持ちであなたを見たくなくて、心をキレイにしたいからで。 でも、私がここにいたらまた彼の仕事の邪魔になるんだな…。

「分かりました。あと少しだけ待って…。」

分かったとだけ言って、蓮さんは工房から出ていった。

私は最後の仕事をして、南先生が暮らしている家へ戻った。

南先生は奥様と三歳の息子さんとここで暮らしている。
陶芸体験をしたい人を宿泊出来るようにもしていて、奥様は元料理人。
普段は作品を作りながらここで家族と一緒に過ごしているのだ。
自然の中で育っている息子の丈ジョウくんはとってもかわいい。
もうそろそろ、外遊びから帰る頃かな…。

「めいちゃん、ただいま〜。今帰ったよ〜。」

ほらね。今日はなにをお土産にして持って来てくれたかな?
< 147 / 213 >

この作品をシェア

pagetop