逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
別れ際の大好き発言にビックリした様子で、すでに歩きゲートを通ろうとしていた私へ

グーの拳を前に作って、“アイシテル”っていってる様だった。

お互い笑顔で別れられたし、私は気持ちを言えて満足で、晴々と日本を飛び立った。




それから私のニューヨーク生活が始まり、海外でもヨーロッパとアメリカでは違い新鮮だった。

学生と社会人でも違うし、子供だった頃と大人になった今も違う。



職場はほとんどが現地で採用された人で、人種も様々だった。
いい意味で、お嬢様だろうと受け入れてくれたし、能力は試された。
九条芽衣の全てで、リーダーの資質を問われていたと思う。

少しずつ慣れて、遠慮なく言いたい事も言った。
時にはメンバーと衝突するけど、一緒にコーヒーを飲んだら、次の目標へ向かった。
決して楽ではなかったけど、自分らしさと向き合えた日々だった。


学生時代の友人も何人かニューヨークにいて、それぞれの道を歩んでいた。
時には刺激ももらえたし、仕事の悩みも愚痴を言って一緒に飲み明かしたこともあった。

兄が時々様子を伺いに来てくれた、なんだかんだで変わらず過保護だ。
恋愛話に探りを入れられる。もう妹がつらい思いをするのが嫌なのだろう。
こっちへ来て、何人かに交際を申し込まれることもあった。
私と蓮さんの関係は友人。お互いに好きな人が出来ればそれは喜ばしいこと。
そう言って友人関係を築いているはずなのに、心はやっぱり掴まれているのを自覚しているので
お試し交際にも進めない。
今は仕事を思いっきりさせてもらえて、満たされているし。
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