逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
まさかの助っ人
あれから数日後の土曜日、凛子ともう一度約束して会うことになった。
昔から行っていた、カフェで待ち合わせ。

「この前はごめんね。明後日にはアメリカ戻ることにしたから、その前にもう一度
会えて良かったよ。」

「それで体調はもういいの?無理に帰国して大丈夫?」

「うん、もう大丈夫。っていうか病気じゃなかったんだよね。実は…おめでたでした。」

「えー!ホント。おめでとう!ホントにホント?うれしー!
って、ちゃんと仲直り出来たんだよね?大丈夫なんだよね?」

「おかげさまで。元通り。というか、ライアンが過保護で。旅行中つわりで具合が悪くなって。
帰国してゆっくり休んだら元気。時々つわりあるけど、あまりキツくなる前にあっち戻ろうかって
ことになって。」

「そっか。せっかく帰国したのにまたアメリカか、寂しくなっちゃうけどベビーのためね。」


その後ドバイの話と妊娠の話、私と課長の話に。

「じゃあ、もしバレたらどうするの?」

「バレないようにより地味に過ごすつもりだけど、バレたら口止めするしかないよね。
聞いてくれるか分からないけど。まあ、そんな悪い人ではないみたいだし。」

「へー。男の人の話題もだけど、いい人みたいに言うの珍しいよね。いい男なの?」

「見た目はね。ただ、九条の娘って知ってるし。実際は良く分からないよ。」

ニヤニヤしながら凛子が聞いている。


「今後の近況報告待ってるよー。」

「イヤ、別に何もないし。」

そう言って、おしゃべりして妊婦を励ましタクシーで凛子を見送った。
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