逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「大丈夫?こっち東口。約束したの西口。」

「ウソっ。私、間違えたの。。。良かった。。。事故にでも巻き込まれたかと思った。」

「それ思ったの俺の方。大丈夫?何もされなかった?」

「ごめんなさい。間違えて。電話もメールも知らなくて。どうすればいいのかと。」

「ごめん。昨日教えておけば良かった。」

良かった。事故とかでなくて。
良かった。すっぽかされたわけでもなかった。
なんだろう。傷つきそうなギリギリのところで、時間と格闘してたからか
ジワっと泣きそうになった。
少し俯いて涙を耐えた。

すると、スッと引き寄せて抱きとめてくれた。
突然の桐生課長の体温に焦った。

「ごめん、不安にさせて。」

泣きそうなのを堪えるためしばらく動けなかった。
30秒、1分どれくらいだったろうか。
駅で多くの人が行き交う場所だ。慌てて離れた。

「まずはお茶でもしようか。」

「はい。」

黙ってついて行き小さなカフェに入って紅茶を頼んだ。
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