逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「わかってるよ、お兄ちゃん。
嘘が自分を傷つけてるの。
会社勤めをしたいってだけで偽名入社して、人間関係を作るのがこわいことも。
罪悪感もある。
けど、今させてもらってる仕事やりがいあるの。
しばらく考えさせて。」


「ああ、しっかり自分で考えるんだ。
誰よりもお前が幸せなのが家族の願いだから。」

「お兄ちゃんはつらくない?
後継者っていうのが生まれた時から決まっていて。」

「子供の時は反発したさ。でも大人になってやりがいあるよ。
自分で何を決断して、どう切り開くか。
今となってみれば、生まれてからその切符をすでに持ってるというのはラッキーだ。
活かせるかは自分次第。そう思うまでずいぶんかかったけど。」

「相変わらず、男前だね〜。」

「芽衣の自慢のお兄ちゃんでいないとな。」

そんな会話をして味方がいる安心感で満たされた。
自分はどうしたいのだろう。


そんな夕方、退社しロビーを出て駅までの道のりを思わぬ風景に遭遇した。

桐生課長が女性と親しげに歩いていて、別れ際ハグをしながら
キスをしていた風景を。
モデル風の綺麗な女性で、二人はお似合いで絵になっていた。
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