逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
想像していた女と違って、頻繁に会うと飽きられそうだな。
まして、ボロボロの状態の私を見て面倒くさくなったりしてないだろうか。

はあ、恋愛ってどうすれば上手く行くものなんだろう。

「まだ食欲ない?」

「いえ、どれもとっても美味しいです。」

「取り分けて好きなもの好きなだけ食べるって楽しいよね?
家だと、一人分ずつ用意されて、無駄にでっかいテーブルで一人で食べることも多かったし。
食事は一緒に食べる人がいる方が上手い。」

「そうだね。一人暮らしだと仕事終わって自分のために作るのは億劫だし。
まあ、これから時間もあるからお料理教室も通うかな。
みんなで作ったもの食べると楽しいの。
感想言い合って、アレンジを考えたり、器とかテーブルコーデとか。
地味女のレッテル取るためにも、女子力あげようっと。」


「芽衣の料理は食べてみたいけど、女子力あげられると他の男がちょっかい出しそうなので
程々に。まあ、オレもいっぱいちょっかい出すだけだけどね。」

「何言ってるんです。ほんと、桐生課長とキャラ違うし。」

「そんな、仕事の顔は冷静沈着、中立が基本だろ。
芽衣に対する感情はあっちっこ振り回されるよ。まあ楽しいけどね。」

そんな話をして、今日一日で随分と距離が近くなった。

食事をしてマンションに帰る。
地下駐車場で車を降りると。
背後から、声をかけられた。
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