逃げる彼女に甘い彼 ~my sweetheart~
「お仕事でおつかれのところ、うちまで来ていただきありがとうございます。
ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
パーティーやジムで何度かご挨拶させていただきましたが、改めまして
柾木 蓮と申します。
柾木コーポレーションで専務取締役を務め、現在主に、芽衣さんが務めていた柾木不動産で業務にあたっています。
芽衣さんとは、何度かお会いし、先日から交際させていただいてます。
もちろん、今後将来的なことも考え、お付き合いをさせていただきたいと思っています。」


「は〜、やっぱり付き合ってるのか。で、芽衣はどうなんだ。」

「まだお付き合い始めたばかりだけど、蓮さんといると楽しいので今後も続けたいなと思っています
…。」


それから、出会いや会社での接点、私が辞めた経緯、今日何してたとか、お家にお邪魔したのは初めてだとか、まだ始まったばかりの付き合いだと認識したようで…。

「大体経緯はわかった。あの失礼なやつの会社とは話をつけた。
柾木不動産には迷惑をかけてすまなかった。あの後、あのボンクラ息子の社長と話をすると、三男でダラシがなく働かせてみたが、問題が多く手を焼いているらしい。長男、次男はまともみたいなので今回傘下として外すことはしなかったが、ボンクラ息子はうちと一切関わらせない様に条件を出した。柾木不動産との契約は白紙、傘下の別会社へ変更すること柾木不動産へは話をつけてある。九条の娘に怪我をさせてタダで済むとは思っていないようで、契約打ち切りを免れただけでもよかっただろう。」

「 アイツには腹がたったけど、家族は関係ないからね。面倒かけてごめんなさい。」

「で、柾木くん、妹とのことは真剣に付き合いたいようだね。
君の人となりは少しは知っているつもりだよ。
柾木家なら家柄も申し分ないので、両親も反対はしないだろう。本人同士が望んでいるなら尚更。
妹が幸せになることが一番の望みだ。
それが恋愛だろうと、見合いだろうと。
芽衣を一番に幸せに出来る男に将来は嫁がせる。君がどれだけ芽衣を大事にしてくれるかとりあえず見守るよ。泣くようなことがあったら、容赦しない。
万が一、会社関係に軋轢ができたとしても。まあ、ならないことを願っているよ。」

二人で顔を見合わせて微笑んだ。

「ありがとうございます。必ず大事にします。」
「ありがとう、お兄ちゃん。」

「ああ、早々に、二人とも両親には根回しはしとけよ。オレも含めだけど、縁談話が次々やってくるぞ。芽衣はすでに10件以上持ち込まれてる。親父とオレで誤魔化してるけど。
母さんは孫を夢見て、勧めてくるかもしれない。
仕事辞めて、しっかり女磨きやっとけよ。売れ残ると大変だ。」
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