見守り愛 〜ビタースイートな副社長と一目惚れの恋を成就したい〜*おまけ終了*
「え…」

「いや、ずっと社内での様子を窺ってきたんだが、メンタル相談を受ける窓口が琴音一人では大変そうだな…と思ってたから」


するりと違和感なく名前呼びされる時点で、気恥ずかしさの方が先立つ。
副社長からずっと観察されているのは気づいていたけれど、本人の口からそれが確認されると妙な緊張感も走る。



「…えーと、残念ながら、まだいないですね」


先輩ほどの目利き能力があれば、一人くらいの助っ人は見つけられているのかもしれない。
けれど、悩み事や相談を受け止めるだけで精一杯の私では、まだ周りの人達の能力までは気づけて
いない。


「琴音はその仕事をずっと続けるつもりなのか?」

「えっ…続けるって言われても」


人事異動というものは、上の人達が決めるのではないの!?


「早く辞めて欲しんだが」


いや、それって、上司が判断すればいいことでは!?


「…あの、副社長」


担当から外したければ副社長が鶴の一声で、「配置を換える」と言ってくれればいいのでは!?…と喉元まで出かかったが。


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