君がいればそれだけで。
ヒューの名乗り出に喜びつつ、皆にしごかれながら執事を楽しんでいた。種族ごとに分かれた地獄のような世界でも、こんな幸せな時間を過ごせるんだと王女に教えられたような気がした。

「王女と兄さんはどういうご関係だったのですか?」

「私の母がシオラの父の兄と一緒に暮らしていた時期があったんです。シオラの父の養子先を手配したのも母だったと聞いています」

「父を知っていたから直ぐに分かったのですか?」

庭で休憩している時、ヒューの問いかけに興味を引かれた。旅はしていたものの、勘違いするくらい鬼の血が強い俺にどうして疑いもせずヒューと会えると言ったのか。気になっていたんだ。
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