私だけのヒーロー



奈津子は一駅隣に住んでいるため、電車の中で合流することになっていた。



乗った電車の場所をトークアプリで教え、隣の駅に着き、ドアが開いた瞬間、奈津子がニコニコの笑顔でこっちへ向かってきた。



「いよいよデートだねっ」

「デート?! これって、デートなの?」



たっくん以外にも、たっくんの友達や奈津子がいるからデートって認識はまったくなかった。



「デートに入るでしょー。だって、さゆの服もいつもと違って気合が入ってる気がする」

「そうかなっ?! へ、変?」

「可愛い! これは、小川も好きになっちゃうと思うなぁ」

「すすす、好きっ?!」



奈津子の口から出た"好き"の2文字に、不覚にも反応してしまった。



驚く私に、キョトンと不思議そうな顔をする奈津子。



「たっくんに、好きになってもらいたいんでしょ?」

「そんな大それたこと思ってないよっ」

「え? さゆって、小川拓海のことが好きなんじゃないの?」



つり革につかまりながら電車に揺られる私と奈津子。



ズバリ、そう言われた私は、何も言い返すことができなかった。


心のどこかで自分の気持ちには気づいた。



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