名前を呼んで、好きって言って

それから清花ちゃんの席に行くと、ちょうど夏恋ちゃんと麗羅ちゃんが来た。
私は三人に、春木君たちに説明したこととほぼ同じことを言った。


「秋保ちゃん……つらい思いしたんだね」
「そりゃ学校に来たくなくなるわ……」
「秋保ちゃん、よく頑張った」


三人そろって涙ぐんでくれた。
あのことを話すのは抵抗しかないけど、こうして親身になって聞いてくれる人に話すのは、悪くないかもしれない。


「で、翔和とはどうなの? さっきいい雰囲気になってたけど」


急な話題転換に驚いた。


清花ちゃんの一言をきっかけに、夏恋ちゃんも麗羅ちゃんも恋愛モードになってしまった。


「そうだよ、昨日好きになった、みたいな反応してたよね?」
「付き合うの?」


質問攻めだ。
これはちゃんと答えるまで逃がしてくれなさそうだ。


「好きっていうか……春木君がほかの子に好きって言うのは嫌だなって思ったくらいで……まだ付き合ったりとか、そういうことは……」


したくないというより、怖いと思った。


「……過去にややこしい恋愛を経験してたら、新しい恋に進むのも怖いか」


エスパーかと思うようなタイミングと内容だ。
清花ちゃんが言うと、二人は頷いた。
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