もうそばにいるのはやめました。



「は、ハルくん、どうしたの?」



傘をさしてなかったハルくんの肩はわずかに濡れてる。


ハルくんも学校帰りなのだろうか。

学ランを着てる。


でもそれにしては荷物が大きいような……。



「姫を待ってたんす!」



ハルくんがわたしの傘に入ってきた。



「わたしを待ってたって……」



どういう意味?
と聞こうとしたら

ズイッと顔を近づけてきた。




「……な、なに?」


「姫、泣いてました?」


「へ!?」


「泣いてたんすね!誰に泣かされたんすか!?」




泣かされた前提なのね。


相変わらず忠誠心の強いハルくんにいやされる。




「泣かされたんじゃないよ。わたしが勝手にムキになっちゃっただけ」


「ムキにって……心優しい姫を感情的にさせるとは許せないっす!誰が姫を……!」


「ハルくんと会ったら涙も止まったから、大丈夫だよ」


「……ぼ、僕に、会ったから……?」


「うん!ハルくんといると元気になる!」




なんでだろうね。

ハルくんの隣は落ち着く。


ずっと一緒だったからかな。



全身で「うれしい!」と叫んでるみたいにくねくね揺れてるハルくんがかわいくてつい笑ってしまう。


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