この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

部屋に戻って手洗いうがいをする。

鏡の中の私は生気がなくて青白い顔をしている。はは、本当に病人みたい。って、病人か、私は。

髪の毛が乱れていたから整えようとしたら、手に無数の髪が絡みついた。ごわっとした変な感覚。手を引き抜くと大量の髪も一緒にまとわりついてきた。

「い、いや、ウソ、でしょ……」

わかってた。抗がん剤の副作用でこうなるってことは。でも、突きつけられた現実に膝がカタカタと震える。涙が一気にあふれて頬に流れた。

せっかくここまで伸びたのに、また全部抜けちゃうんだ。見られたくないよ、こんな姿。どうして私がこんな目に遭わなきゃならないの。

「ふっ……うっ……っ」

涙が止まらなくて、慌ててベッドに潜り込む。頭から布団をかぶって身体を小さく丸めた。迫りくる恐怖の震えながら、涙はいつまでも止まらない。

目が腫れぼったくて、布団のシーツの上にも髪の毛のザラザラとした感触がする。

起き上がるとさっきまでとは比べものにならないほどの髪の毛がシーツの上に落ちていた。

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