この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

詳しく聞いてみると日向くんにはお姉さんが二人と妹さんが一人いるらしかった。

「親父も姉ちゃんや妹に甘いから、マジでヤツらワガママ放題なんだよ」

うんざりしたような表情を浮かべる日向くんだけど、家族を想う優しさが見て取れる。

だって本当に嫌ならお姉さんに付き合って買い物に行ったり、お使いを頼まれても行ったりしないよね。

なんだかんだ言って仲良しなんだ。振り回される日向くん、ちょっと見てみたいかも。なんてね、あはは。

「桃咲は?」

「うち? うちは弟が一人いるよ。普通の四人家族」

「俺も男兄弟がほしかった」

「私もお姉ちゃんがほしかったよ」

フードコートを出て当てもなくブラブラ歩きながら、そんな他愛もない話をした。

さっきからすれ違う女の子たちがみんな日向くんを見てる。無理もない、目立つもんね。

アクセサリーショップの前で、ふと日向くんが足を止めた。

そしてなにやらまじまじと一点を見つめる。

「どうしたの?」

「四つ葉のクローバー」

「え?」

日向くんの視線の先を追うと、四つ葉のクローバーを形取ったかわいいピン留めが目に入った。

「かわいい……!」

思わずそう言うと隣で噴き出す声がした。

「桃咲っぽいよな、これ」

「そうかな?」

「うん、っぽい」

「えへへ」

千円かぁ……。

今日は持ち合わせがないから買えないけど、そこまで言われたからには絶対にゲットする。

次にくるときまでどうか、売れませんように……。

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