KANATA~answers of your selection~
「よっ!奏太!」


「おはよう奏太」


「おはよう」


「遂に卒業式か...」


「そうだな。3年間、あっという間だった」


「お前は入院したりしてたからそう感じるんだよ。俺にとっちゃあ、この3年間は長い長い道のりだった...」


「良は相変わらずうるさいわね。大学の合格発表まだのくせに」


「うるさい!受かる気まんまんだっつうの」



あの日から月日は流れ、オレは無事卒業式の日を迎えた。


オレの願いは叶ってオレは辻村のドナーになり、手術を受けた。


予後が順調ならすぐに退院出来たのだが、パラレルワールドを体験したり、手術を受けたりして肉体と精神のバランスが上手く取れなくなり、オレは1ヶ月ほど入院した。


幸いにも単位はほとんど取り終えていたから皆と一緒に卒業することは可能になった。


ただ、オレは受験には間に合わなかった。


9月に手術し、10月の中旬に退院して学校に復帰したのだが受験勉強が思ったより捗らず、オレは浪人を決めた。


入れそうなところもあったが、それが納得した選択じゃないと分かっていたから、皆と同時期に入学する夢はきっぱり捨てた。


それにより得られたこともある。


選択肢を広げることが出来たのだ。


夢という夢がなかったオレは少しでも自分の興味のある分野が学べる大学に行ければそれでいいと思っていた。


でも今は違う。


明確な夢と目標がある。


それを叶えるまでオレは彼女に会いに行かない。


そう決めていた。


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