KANATA~answers of your selection~
「お兄ちゃん今日は何時に帰ってくるの?ママは夜勤だし、パパは飲み会だから遅くなるって言ってたよ!」


「虹晴(こはる)は何もしなくていい。俺が夕飯作るから」


「ヤッホー!ありがとお兄ちゃん!じゃあ、あたし先行くね」


「いってら」


「行ってきます!」



虹晴が去るとこの家は静寂に包まれる。


聞こえてくるのはテレビの向こうのアナウンサーの声だけだ。


俺は身支度をしながら思う。


家族ってなんだろう、と。


俺の家族は父、母、俺、妹の4人。


朝食を揃って食べたことは産まれてから1度もない気がする。


希薄な絆で結ばれていても家族と呼ぶのだろうか。


俺の疑問はそれだけじゃなかった。


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