KANATA~answers of your selection~
「奏太先輩...、奏太先輩!起きて下さいよ!」


「ふぁ~。はあ...いいじゃん。今日は部長いないよ」


「手抜きしないで下さいよ!天文部ですよね?やりましょうよちゃんと!ほら、堀江くんも手伝って!」



口うるさいのは相変わらずだ。


出会ってから実に15日目。


だいぶ慣れては来た。


そして明日からゴールデンウィークだ。


嬉しい嬉しい休み。


しかし、実際には休みなんてほぼない。


明日は父の友人の長内教授ご家族が家に来てパーティーをやるし、翌日には天文部の交流会があるし、その次の日は未夢の練習試合を応援しに行く。


その後2日間はようやく予定がなくなり、6日目に未夢と仙台へ出かける。


仙台へは昨年開通したばかりのリニアでいくから都心から30分ほどで行けるから、楽だし疲れることはない。


残るは最終日。


最終日は休めるか。


いや、でも虹晴が友達を家に呼ぶとか言っていたから邪魔者のオレと父さんは追い出されるな。


そう考えると休める日少ないな。


つうか、休むんじゃなくて勉強しなきゃか。


高3になりながら受験勉強しないとかダメだな。



「阿部先輩」


「あっ、はいはい」


「活動しないなら僕帰りますよ。僕家でECCの改造する予定なんで」



改造...。


政府にバレるんじゃね?


どんなに頑張ってもお偉いさんにオレたちの個人情報は隠せないし、不正や改造なんてしたら搭載されたGPSで特定されて家に乗り込まれる。


防水加工もバッチリだから入浴中だろうが、料理中だろうが、身に付けなくてはならない。


外せるのは修理に出す時くらいだ。


そもそも修理なんてほぼない。


そのくらい精密な機器なんだ。


堀江くん、無謀なチャレンジだな。



「ああ、いいよ。どうせ2年も来てないし」


「なら遠慮なく。さようなら」


「じゃあな。良いゴールデンウィークを」


「堀ちゃん、バイバーイ」



堀江くんはちょっと顔を紅潮させながら去っていった。


嬉しいんだな、きっと。


ま、こういう女子から話しかけられたら普通に嬉しいよな。


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