始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
『この近くに店があるから』


そう言って、先輩は右手をあげて、タクシーを止めた。


『乗って』


私を先に後部座席に座らせてから、先輩もタクシーに乗り込んだ。


ちょっと強引過ぎない…?


うわ…


密室になって気づいた。


すごくいい香りがする。


これって…月城先輩がつけてる香水?


大人な香り…


何だろう…上手く表現出来ないけど、ついつい先輩の身体に顔を埋めたくなるような…


そんな、惹き付けられる香り。


ちょっと…


フラフラってなる。


男性の香りに、こんなにもドキドキするなんて、初めてだ…


『あの、お店って、月城先輩のお店ですか?』


『ああ』


美咲が言ってた、先輩の経営する美容院が都内に5店舗もあるって。


31歳の若さで、とても信じられない


『そこに行くんですか?』


『そうだ』


それ以上、何も言わない。
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