始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
大切な人達の幸せを願いながら
恭吾さんが、シャルムに来た夜、私達は2人でリビングで話をした。


温かいミルクティーのカップを触りながら、悠人が言った。


『氷野さんは、お見合いのこと、悩んでいるみたいだった。あの人は、まだ穂乃果のことが好きだと…思う』


『え?そんなこと…それは、絶対にないよ』


私は、すぐに反論した。


『俺にはそう思えた。話をしている時…まだお前を忘れられないでいるように見えた。だけど、氷野さんは、お見合いをして、黙って身を引いて、1歩踏み出すことにしたんだろう…でも、最後に自分の気持ちを確かめたかった。だから、穂乃果に会いに来たんだ』


そんな…


悠人の気のせいだよ…


恭吾さんには、その女性を大切にしてもらいたい。


その人と、幸せになってもらいたい。


絶対に…


そうであって欲しい。


『輝も…たまに会えばわかる。まだ穂乃果を忘れてないって。氷野さんも、輝も、穂乃果って言う女性に心を奪われて…そこから、なかなか抜け出せなくて、もがきながら、苦しんで、必死にお前を忘れようとして…』
< 202 / 230 >

この作品をシェア

pagetop