あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
ちらりと私を見てから先輩は言った。
「懐かしいな。そうやって顔を隠すの。」
「?」
「初めて話したときも、そうやってタオルでお前顔を隠してただろ?」
先輩の言葉で思い出す。あの日はかなり暑かった。ハンドタオルで顔を半分以上隠して先輩と話をしたっけ・・・。
「よく覚えてるね。」
「当たり前だろ。」
先輩も覚えてくれていることがうれしい。

同時に・・・
一緒に過ごした時間の長さや、その中での思い出の積み重ねの大きさに心にじんわりときた。

「話、戻るけどさ。本当にお父さんのこと。よかったな」
「うん。母が父の体調の管理もできるし。父は母とおばあちゃんの手伝いもできて、お互いに支え合えるといいなって・・・」
「そうだな」
自分のことのように安心した表情になる先輩に私は愛しさがこみあげてもう一度頬にキスした。
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