あなたの隣~憧れ先輩と営業外回りペアになりました~
すると先輩がどんどん私の方に近づいてきた。
私よりも背が高い先輩。私と同じ目線にしようと少しかがむ。

この距離はどきどきするって!

私が少し後ずさりすると先輩はもう一歩前に近づく。

「赤くなっちゃったな。あざになるかな」
私のおでこを見つめながらそういう先輩の顔は心配そうだ。
「いたそっ。さすがにそれは止められなかったな。悪い。」
会社での先輩と全く違う優しさと柔らかさに私の心はぎゅっとつかまれた。

先輩は私のおでこをさすり優しく微笑む。
「にしても、お前、酒癖悪すぎだろ」
「すみません。本当に」
もう一度先輩に謝る私に先輩は私が下げた頭に手をのせた。

「そんな謝らなくていい」
頭上から投げかけられた言葉の優しさに、私は鼻の奥がつんとした。
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