君がいれば、楽園
「おはよう、夏加(なつか)

 長い足で部屋を横切り、身を屈めてわたしの額にキスを落とす。

「今日、遅出だから、俺が朝食作るよ。パン? 米? どっちがいい?」

「……パン」

「フレンチトーストにするか」

 鼻歌を歌いながら台所へ向かう彼。わたしは半分寝ぼけたまま浴室へ。

 熱いシャワーで目を覚まし、必要最低限のメイクをし終える頃には、すばらしい朝食ができあがっていた。

「紅茶切れてるから、コーヒーでいい? フレンチトーストに砂糖入れてないんだ。蜂蜜かける?」

「うん……」

 サラダ、ハムとスクランブルエッグ。黄金色をしたフレンチトースト。ブルーベリー入りヨーグルト。淹れたてのコーヒー。ホテルの朝食のようなクオリティだ。

 いつものわたしの朝食は、シリアルかバターを塗っただけの食パン。もしくは、漬物と白いご飯だけ。朝からこんな量は食べられないと思っていたのに、気づけば完食していた。

 お皿を下げ、せめて洗い物だけでもしようとしたが「そんなことしてたら、いつものバスに間に合わないよ」と言われ、洗面所へ向かう。

 歯を磨いてリビングへ戻ると、洗い物を終えた彼はアイビーの葉っぱを撫でながら、誰かと話していた。
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