彼と彼女の甘い秘めごと



わたしはひとりで大丈夫だけど、希帆は誰かがついていないとと言われた気がして、悲しかった。

…伊織の彼女はわたしなのに。希帆じゃないのにと思ってしまう自分の心の弱さが、悔しかった。

意を決して話そうとしたことが、伊織にとっては「そんなこと」で片づけられてしまうのが、つらかった。



まさか伊織に否定されるなんて、思わないじゃない。



「ねぇ伊織、抱いて」

「っ本当に今日の紗和、なんか」

「いいから、抱いて。おねがい…っ」



あぁ、

嗚呼、



滑稽なわたし。

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