彼と彼女の甘い秘めごと
「…た、かみ…くん…っ?」
――…心のどこかで
伊織だったら、と
思ってしまった自分は、本当に自分勝手。
「やっぱり白石さんだ」
「っ…なんで…?どうしてここに、」
「ばあちゃん家の帰り。ここの近所なんだよ」
「…あ…、そうなんだ」
木の長椅子に座って、ひとり泣いていたわたしの目の前に
しゃがんで目線を合わせてくれる、高見くんがいる。
「白石さーん、元気出してよー」
「…ふふっ、…あれ…、牛くん…?」
「おー。いとこのやつ、かえるだけ気に入りやがったから持って帰ってきた」
そして彼は、今日のように
またわたしを笑わせてくれた。