彼と彼女の甘い秘めごと
キーンコーンカーンコーン――…
「はい、それでは今日の授業はここまでにします」
ぐるぐる、ぐるぐる。
行き場のない感情を持て余して、処理できない葛藤に苛まれる。
昨日わたしに告白をした高見くんの顔も見られず、落ちた感情を拾い集めることも出来ないまま、呆然としていた。
「…紗和ちゃん、大丈夫…?」
「…うん。大丈夫よ」
お昼休み。
ぞろぞろと席を立つ生徒を朧気に見つめて
お弁当を持って傍に来てくれたひなに、笑ってみせる。
「あれ?伊織く……、どこ行くのー?」
「うちらも一緒にお弁当食べようと思ったのに」
「生徒会室。今日も会議」
「えぇーっ、忙しいんだぁ」
「じゃあ仕方ないねー」
何度も帯びる胸の痛みには、無理やり蓋をして。