彼と彼女の甘い秘めごと



時刻は午後七時前。


部活が終わって、久しぶりに一人でゆっくりと買い物をして

…満たされた時間に、心が穏やかなのはいつぶりだろうと考えて。


食欲はないままで、ひなだけではなく璃乃やクラスメイトにも痩せたことを心配されていた。

こけた頬を自覚しながらも、今日も食べたのはゼリー数口。


…大好きな料理だけはどうもする気になれず、お腹も空かない毎日が続いていた。



――…伊織はいつ帰ってくるのだろう。

伊織のことだからずっと希帆に付きっきりなのだろう。…希帆の彼氏さんの立場を思うと苦笑いがこぼれた。



あのふたりはきっと、

周りの人間が踏み込めないくらいの絆でつながっているから。


…わたしを含めた、周りの人間が。

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