彼と彼女の甘い秘めごと
「紗和ちゃん!待ってたよ」
「こら希帆、落ち着きなさい。…紗和、伊織くん、よく来たな」
広いリビングルームに
両親と祖父母、伊織のご両親、希帆と皐月さん。
みんなフォーマルな格好をしている。…もちろんわたしや伊織も、かっちりめの私服を着てきた。
…父の声が優しいのは、もう慣れたこと。
「紗和ちゃん、体調はどうだい?」
「はい。よくなりました」
「それは良かった。……ふたり一緒ということは、また付き合い始めたのかな?」