彼と彼女の甘い秘めごと



「伊織、抱いて」



――…紗和から誘ってきたことは、これまで無いこともなかったが

あんなにもストレートに、そして色欲を伴って誘ってきたことはなかった。


自分を安心させようとしてくれたのだろう。

何も不安になることはないよと、彼女の無垢で真っ直ぐな瞳が物語っていた。



…だからこそ。



「…白石さんって、なんか放っておけねぇんだよな」

「なんだ晴人、お前委員長のこと好きだったのか」

「すっ…!?違ぇよ!!なんかほら、…いつも人のために動いてて、自分のことちゃんと大事に出来てんのかなって思うだけだよ」



つい最近、千尋と晴人と三人で

男女別に分かれた体育をぼんやりと見ていた時。

女子のバスケコートを見ながら、晴人がそう呟いたことだって、…何も気にしなくていい。

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