極上パイロットが愛妻にご所望です
 搭乗客を誘導し、すべての乗客が乗り込んだ頃、十八番ゲートから桜宮さんをはじめ、コーパイ、CAたちが姿を現した。

 全員おそろいの黒のキャリーバッグを引いている。

 私は桜宮さんの姿に顔を緩ませる。彼は私に気づいていない。

 ゲートコントローラーカウンターの中にいるこちらのほうへ、ぞろぞろ歩いてくる一団。

 そのとき、ふたりのCAがキャリーバッグを小走りで引きながら、桜宮さんの横に並んだ。

 ボブカットのサラサラの髪をしたCAが満面に笑みを浮かべながら、彼に身体を寄せる。

「桜宮機長、私たちこれからお食事へ行くんですが、ご一緒しませんか?」

 高めの声で桜宮さんを誘っているのが私の耳へ届くも、彼の返事は聞こえなかった。

 彼女たちと食事へ行くのかな……。

 嫌だと思ってしまうが、それと同時に、私に気づかなかったことにシュンと気落ちする。

 私って支離滅裂だわ……。私が社内では内緒にしたいって言ったのに……。

 以前の彼はGSの横を通っても見向きもしなかったことを思い出した。

「水樹さん、次は二十番ゲートですよ」

 ぼんやりしてしまった私はスタッフに声をかけられハッとなる。

「は、はいっ!」

 しっかりしなきゃ!

 自分に活を入れて移動した。

 
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