極上パイロットが愛妻にご所望です
「手の具合はいかがですか? あ、テーピングを」
住田くんの視線が私の右手にスッと移動する。
「ありがとう。だいぶ痛みは無くなったの。ローテーション、迷惑かけちゃったね」
「迷惑だなんてとんでもないです。手は大事ですから。特に利き腕なんですし。あの……」
住田くんは言葉を切って、目線を落とし気まずそうな顔になる。
「どうしたの?」
「いえ。なんでもありません。お客さまのお荷物を持つときは、僕に言ってください」
「ありがとう」
きっと桜宮さんのことを聞きたかったのだろうと示唆する。
私もどんな噂になっているのか知りたい気持ちもあったけれど、ゲートは目と鼻の先だ。
そこからは仕事モードになり会話をやめ、出発前の楽しそうな乗客に目を配りながら向かった。
勤務が終わり帰宅途中の電車でスマホを開いた私は思わず「あっ!」と声が漏れた。桜宮さんからメッセージが入っていたのだ。
開いてみると、文章はなくPDFのみ。それは桜宮さんの六月の勤務表だった。
住田くんの視線が私の右手にスッと移動する。
「ありがとう。だいぶ痛みは無くなったの。ローテーション、迷惑かけちゃったね」
「迷惑だなんてとんでもないです。手は大事ですから。特に利き腕なんですし。あの……」
住田くんは言葉を切って、目線を落とし気まずそうな顔になる。
「どうしたの?」
「いえ。なんでもありません。お客さまのお荷物を持つときは、僕に言ってください」
「ありがとう」
きっと桜宮さんのことを聞きたかったのだろうと示唆する。
私もどんな噂になっているのか知りたい気持ちもあったけれど、ゲートは目と鼻の先だ。
そこからは仕事モードになり会話をやめ、出発前の楽しそうな乗客に目を配りながら向かった。
勤務が終わり帰宅途中の電車でスマホを開いた私は思わず「あっ!」と声が漏れた。桜宮さんからメッセージが入っていたのだ。
開いてみると、文章はなくPDFのみ。それは桜宮さんの六月の勤務表だった。