お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》
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「はい、絆創膏。」

「いてて…!ありがとうございます…」


月明かりを頼りに、ぺたり、とすり傷を手当てするダンレッド。

数分後。宣言通り全ての窃盗団を地面に転がした二人は、港の堤防に腰を下ろし、並んで顔を見合わせている。


「やりましたね、メルさんっ!旦那様のウィスキーも無事だし、男達も縛り上げたし、一件落着です!」

「そうね。念のため、トラックのタイヤもパンクさせておこうか。じきに町の警備隊が来るだろうけど。」


メルの機転とダンレッドの活躍により、窃盗事件はことなきを得た。

携帯していた通信機で警備隊に通報を入れると、警備隊は窃盗団瓦解の立役者が未成年だと知って、後処理はせずに帰宅するよう指示をした。

メルの隣で満足げにニコニコと笑うダンレッドを見ると、身体中に擦り傷や切り傷が出来ているが、全てメルに襲い掛かろうとする男達を引き受け、派手に暴れた結果である。

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