雨が嫌いな雨女
「愛智…、友利(ともり)君」

春歌が服で慌てて体を隠す。

「俺、本を取りに来ただけだから、ごゆっくり~!」

歩夢が足早に教室を出て、慌てて愛智も歩夢に付いていく。

図書室に向かう途中、

「ドキドキしたぁ」

頬を真っ赤に染めながら、愛智は言う。

「…そう?」

やはり歩夢は平然としている。

「歩夢、経験あるの?」

恐る恐る聞くと、

「うん、あるよ」

歩夢は頷く。

「歩夢はあたしと同じで、経験ないものかと思ってたのに、ショックだなぁ…」

「勝手に童貞にしないでくれる…?」

歩夢は少しムッとしている。
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