ナナ

Past

「疲れた?大丈夫?」


「大丈夫です・・・。」



機械音が鳴り響き太ももに絵柄が施されていく。



やっと取れた休日で刺青を入れる。



休日の前日はお酒飲みたかったけど刺青のために我慢した。



想像よりも痛くはなく、順調に進んでいく。



徐々に出来上がっていく顔。



色が入って完成するのが楽しみ。



「ちょっと休憩しようか。」



機械音が止み担当者にそう言われる。



「はい。」


「ナナちゃんはさ、湊都に対してどんなイメージある?」


「イメージですか・・・。」


「あいつ巷じゃ冷酷だとかミステリアスとか無愛想とか言われてるけど全然そうは思わないんだよね〜。」


「無愛想・・・。」



・・・。



全然そうは思えないけど。



人並みのコミュニケーションは取ってくれるし。



冷酷っていうのはちょっとあるかも。



初めて会った時はそうだった。



ミステリアスは言えてるかも。



「うーん、当てはまる所もあれば当てはまらない所もあるかなって感じですかね。」


「やっぱりあいつ、人前じゃ人格作ってんだなぁ。」


「職業柄その方がいいんじゃないですか?」


「それもあるのかもね。俺的にはもうちょっと笑ってくれてもいいけど。」



まぁ、屈託のない笑顔っていうのは見たことないし想像できないな。



「さぁ、再開しようか。」


「はーい。」
< 49 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop