鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする


 「まず、魔法が勝手に発動してしまう事だが、それは空澄の魔力が風が属性だからだろうな」
 「属性?」
 「そう。よく、ゲームとかであるだろう。古代ギリシャの哲学で提唱された世界を構成するいわれた四つの要素。「風」「火」「水」「土」とあって、魔力を構成しているのもそれだと言われているんだ。その力を借りて魔女は魔力を使える。空澄のように「風」だとしても、もちろん他の3つの魔法も使えるが、1番強力で自然と使えるものが「風」という事になるんだ」
 「………属性………。希海もあるの?」
 「もちろん。俺は………これだ」


 そういうと、希海は手を空中にかざす。すると、呪文を口にしていないのに突然掌から小さな火の玉が現れた。そして、その真っ赤な火は消える事なくゆらゆらと希海の掌で燃え続けた。

 「火の属性?」
 「そうだ。こうやって、属性の魔法はすぐに出せるんだ。だから、空澄は身の危険を感じて咄嗟に風を出してしまったんだろうな」
 「………そっか………呪文を出さなくても、魔法が出てしまうこともあるのね」
 「魔力が強いと呪文がなくても強い魔法が出せるみたいだから、空澄は制御しないといけないかもしれないな」
 「………うん」


 希海は手を握りしめて火を消した。
 自分が出してしまった風の事について彼に説明をしてもらい、やっと納得出来た。知ることが出来ると安心する。けれど、力の制御はしっかりと出きるようにならないといけないなと空澄は改めて思った。



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