鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする



 それから、希海と空澄は話し合って、朝早くに起きて近くの丘で魔法の練習をし、昼間は地下の秘密部屋で勉強。夜も外での練習をする事にした。自分が狙われているとわかっているのだから、早く魔法を自分のものにしていきたかった。体はボロボロになる事も多かったけれど、風魔法は上手く扱えるようになり、自由に風を操り短時間ならば空を飛べるようにもなった。それは初歩的な魔法であり、属性が火の希海でさえも出来る事だから、まだまだ覚える事があるのだと思い知った。
 それに、空澄を襲った魔女が使った魔法は高度なものであり、魔女の能力は相当高いだろうと希海は話していたので、日々の生活の中でも油断は出来ないなと感じられた。


 そんな日々が続く中で、空澄の家で璃真の葬儀がひっそりと行われた、璃真の友人や会社の上司などの数名で行われたものだが、皆が彼の死を悲しんでくれていた。家族もいない璃真の葬儀の喪主を務めた空澄も参列者の話しを聞くだけで、泣いてしまっていた。
 
 本来ならば、空澄と璃真の側にいた鴉だった希海も参列したかったようだが、彼がいる妙な勘繰りをしてしまう人もいるだろうという事になり、璃真は別室で待機することになっていた。

 葬儀が終わり最後まで残っていたのは、璃真の会社の上司だった。璃真を可愛がっていてくれたようで、とても残念そうにしていたのが空澄にもわかった。その上司から、会社にある荷物や書類などは後日郵送させてもらうと言われ、空澄はお礼を伝えた。
 お骨は墓をどうすればいいのかわからず、しばらくの間、仏壇の前に置く事にした。そうすれば、いつもお祈り出来るなと思い、空澄はしばらくの間はそのままにして置く事にした。




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