鴉と白骨は、寂しがり屋の魔女に恋をする




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 リアムは日本とフィンランドのハーフだった。フィンランド人の母親が魔女であったが、父は一般人。リアムの魔力はそれほど強いものではなかった。だが、母親の祖母が純血だったようで、リアムの母は魔力が強かった。そのため、母には及ばないもののリアムも子どもの頃から魔力が高かった。他の魔王の友達にも尊敬される存在となっていた。
 そして、リアムは昔から魔王に憧れていた。自分の魔法を使って、人を助ける。まるで、ヒーローのようだと憧れ、自分の将来はキラキラと輝くものに思えていた。

 だが、ある時、純血の血を持つ魔王に会ったことがあった。戦争が始まると、1人で相手国を焼き尽くす事が出来るほどの力の持ち主で、見た瞬間にあまりの膨大の魔力を感じてしまい、リアムは戦慄し、その純血の魔王を直視する事すら出来なかった。
 自分の価値観というものが、なんて愚かな考えだったとわかったり、そして衝撃が走ったのだった。


 それからと言うもの、純血に嫉妬し、憧れをいだき、リアムは調べものに没頭した。
 そこで、純血のように莫大な魔力を得る方法を知った。それは一時的なものであれば、純血の体液を体内に取り入れる事。そして、もう1つが結婚だった。
 それを知ったリアムは純血の末裔がいる場所を調べた。そこで、魔女にもならずにノウノウと生きている日本人の女がいると噂を聞いたのだった。
 その女は生まれながらにして強い魔女になれる資質をもちながら、両親がそれを隠し魔女になることを止めているという。
 
 それを知ったリアムは、これはチャンスだと知った。魔女としての力がないのであれば、彼女は対抗する事は出来ない。それに、その女と恋人になり結婚してしまえばいいだけなのだ。それに、リアムにとっては幸運な事にその女の両親は死んでいた。
 そうとわかると、リアムはすぐに日本へと向かった。


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