凪いだ青を待ってる




「っ本当は安藤先輩から連絡もらって、井上からこんな風に言ってもらえて、すごく嬉しかったです…。あぁ自分も仲間でいていいんだって思って、」

「当たり前だろ。仲間でいていいんだじゃないんだよ、仲間なんだよ。俺たちは18人で全国に行くんだ。誰一人欠けちゃダメなんだ」

「っ…!」

「それに、梁井は青葉じゃない。青葉だって梁井にはなれない。だから青葉みたいになろうなんて思わなくていいんだ。梁井は梁井のトスを、極めてくれればそれでいい」

「えっ、」

「人間は一人ひとり違う。3年間立花のバレーを叩き込まれてきたあいつと、入って間もない梁井が同等だったら、そりゃ青葉の立場がないよ。なぁちさき?」

「ふふっ、本当ですね」



理央先輩が笑って、わたしと井上くんも笑うと

――…梁井くんもゆっくりと笑顔を見せてくれた。



「梁井くん。わたしマネージャーなのに気を遣わせてしまって、悩ませてしまって、本当にごめんなさい」

「っそんな、謝らないで下さい…!」

「梁井くんは、バレーは好きですか?」

「好きです。大好きです」

「立花のみんなとバレーをするのは、好きですか?」

「…っ…、好きです…。楽しいし、もっともっとやりたいって思います」

「うん。それで十分だよ。立花には梁井くんの力が、18人の力が必要不可欠です。だから戻ってきてほしいです」

「っ笹森先輩…」

「一緒に全国に行こう。みんなで一緒に、青を纏って翔けるんだ」



…ねぇ、青葉先輩。



「っ…、はい!」



わたしはやっぱり、立花のバレー部がだいすきです。

あなたのことが、だいすきです…っ。

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